「今何かと話題のZoomをリモートで訓練してもらいました」
安田 真由美
なぜ私がZoomの訓練を希望したのかと言いますと、それは私が所属している団体の神奈川支部会でZoomでの開催が検討された事がきっかけでした。「これは何とかしなければ」と焦ってしまいました。
私は2019年3月に盲学校を卒業して、鍼灸按摩マッサージ指圧の国家資格を取得しました。その関係でいくつかの団体に所属しています。
2020年4月に緊急事態宣言が発令され、所属している団体の本部会、支部会は中止または延期になりました。緊急事態宣言が解除されたものの新型コロナの感染は収まらず、会はオンラインでの開催と現地での開催の二部式となっていきました。
そのような中で、最初の5月にはスカイプを使っての開催でしたが、やはりZoomでの開催が検討され始めました。
また、他のセミナーは全てZoomでの開催となっていました。
Zoomを利用してオンライン飲み会などとTVで放映されていた時は、視覚障がいのある私には関係ない、電話で十分だと思っていました。
しかし、国でも働き方改革、新型コロナ感染拡大防止策として、リモートでの仕事、娘の大学の授業もZoomでのオンラインと生活スタイルは変わっていきました。
Zoomを使って私も支部会、セミナーに参加したい。その一心でした。娘にZoomの事について聞いても私に教えてくれそうな期待は持てませんでした。家族に頼るのはあきらめました。
Zoomのインストールについてはホームページや日本点字マガジンなどで説明がありましたので、何とか一人で行ってみました。でも実際に使用するのは、不安がありできませんでした。
そんな時、七沢自立支援ホームのホームページを検索していて、Zoomを施設で職員で試してみたという記事を見つけました。
ここなら、矢部先生がいらっしゃる。
実は、私は以前に七沢ライトホームの時代に通所で訓練を受けたことがあるのです。
その時のパソコンの訓練を思い出し、また以前在宅でパソコンの仕事をしているときに遠隔操作でパソコンの不具合を指示してくださったことなどを思い出し、リモートでもできるのではないかなーと思い、七沢自立支援ホームにメールで問い合わせをしました。
メールを使えるようになりましたのも数年前の七沢自立支援ホームでの訓練のおかげでした。
数日後に懐かしいお声でお電話がありました。矢部先生でした。
その後は、私が希望する訓練の内容や手続きなどについての説明が電話とメール、お手紙を介して数回行われました。
実際の訓練は週に1度の計5回でした。初回だけ、自宅に職員の方がおひとりいらっしゃってくださり、パソコンの環境の確認やZoomのアカウントの取得などを教えてくださったり、サポートしてくださいました。
2回目以降は自宅と七沢でのリモートでの訓練でした。離れていましたが、iPhoneとパソコンを使っての訓練は不思議な体験でした。
私は、iPhoneでもZoomでの講座などに参加できるようになりたいという希望がありましたので、iPhoneの操作も訓練が必要でした。特に文字入力がうまくできずパスワードの入力は本当に大変で、何度も間違えては遠い七沢から「違います。削除してやり直しです。」と、まるで隣で見ているような錯覚を受けました。
iPhoneからの声で私の操作がわかってしまっているのです。これは驚きでした。どうして声だけでこんなにもわかってしまうのか本当に矢部先生は化け物です。
訓練の中、11月の下旬に初めてZoomによるオンライン講座に参加しました。受付から緊張し、入室、主催者側の承認とおかげさまで順調に講座を終えることができました。今回の訓練の目標であったオンライン講座への参加は一つ達成できました。
もう一つの目標は、Zoomのホスト役になることです。Zoomミーティングを開催して勉強会、特に晴眼者と視覚障がい者が一緒になって行う実技の練習はとても有意義な時間になると確信しています。まだ、準備中ですが是非開催したいと思っています。
まだまだ、コロナとの付き合いは続きそうです。たとえコロナが落ち着いてもこの新しい生活スタイルはしばらく続くであろうと専門家の方も語っています。私もそう思います。
私もそろそろ人恋しくなってきましたので、Zoomでたくさんの人と語り合いたいと思います。Zoomは外出が制限される中、人と人の繋がりをたすけてくれます。
Zoomは視覚に障がいがあっても使えます。私のような機械音痴でも「使えるようになりたい!」という気持ちと一歩踏み出す図々しさがあれば何とかなりました。ここ七沢自立支援ホームには、サポートしてくださる方々がいらっしゃいます。新しいことにチャレンジして豊かに生きてみたいと思いませんか。Zoomはそんな私たちを応援してくれるツールの一つです。
今回のリモート訓練を通して、外出が制限されても視覚障がい者の訓練の場の確保。訓練が継続できる訪問訓練の中のリモート訓練を是非、今後、多くの自治体、福祉関係の事業所などで取り入れて視覚障がい者の生活の質を維持して頂きたいと思いました。