神奈川県総合リハビリテーションセンター

障害者支援施設 七沢自立支援ホーム

障害者支援施設 七沢自立支援ホーム

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利用者の体験談

「七沢自立支援ホームを利用して」

K・Y 50代

朝起きて、周りを見たらどこを見ても真っ暗。私は一晩にして両目の視力を失ってしまいました。病院では、車椅子ですべての介助をしていただきました。いよいよ退院が決まってからは「帰ってこれからどうするんだろう。困った。」というのが私の気持ちでした。そんな時、七沢の自立支援ホームの存在を知り、視覚リハ体験会に参加して入所することに決めました。
入所してしばらくすると、心配する友達から電話が来て「ずいぶん元気だね。」家族に「生き生きとしているね。」とよく言われました。それは、私にとって七沢の生活は、毎日がとても良い刺激だったからです。学んで身に着いたことが自分でもわかる、学んだことがすぐに生活に役立つなど、学ぶことの喜びを知ったからです。
 私にとって良かったと思うことがいくつかあります。
1つ目は、一人ひとりのライフスタイルやニーズに合わせて訓練計画を立ててくれることです。「コミュニケーション」という訓練では、ほとんどの方がパソコンを学びます。私は、持ち運び可能で調べ物ができるiPodを使ってみたいと希望したところ、iPodの使い方の訓練となりました。
2つ目は、人と競い合うことがなく自分のペースで訓練を進められるということです。「日常」という訓練の調理の部門では、皆さん自分のライフスタイルにあった調理法や献立を相談しながら調理を楽しんでおられました。けれども私は病気になって以来、包丁はおろか、お湯を沸かすことすらしていませんでした。私には家族に温かい飲み物を入れてあげたいという願いがありましたが、温かい飲み物には火傷をするというこわさがありました。「日常」の職員の方は、やかんの水をポットに注ぐ訓練を提案されました。やかんの注ぎ口の向き・角度、ポットに注ぐ水の音などに気を付けて練習しました。そして、お水にお湯を加えた練習を重ね、最後にお湯を沸かしポットに注ぐ訓練をしました。不安や疑問に思うことをお話しすると、次の訓練では、解決できるように計画していただきました。おかげで今では、毎朝恐れることなくやかんでお湯を沸かしポットに注いでいます。大事なことは、人と競い合うことではなく、家に帰ってから自分でできるようになることだと感じました。
3つ目は、技能や技術だけではなく知識や情報も伝達してくれるということです。例えば、私たちを守ってくれる法律・私たちにある権利・そして視覚障害者として活躍している団体などについて学びました。時には、副音声の入っている映画を鑑賞したり、音声家電を操作する体験などもしました。このようなことを一人で調べるとしたらとても大変なことだと思います。視覚障害者として、何を知らなければいけないのか、何を知っておけばよいのか、それはどこに行ったら知ることができるのかを学びました。
最後に、私が一番うれしかったのは、仲間と出会えたことです。視覚障害者の施設なので暗いイメージを持っていましたが、七沢の自立支援ホームは明るく活気に満ちていました。食事中は訓練の話をしたり、冗談を言って盛り上がったりもしました。年齢も性別も家庭環境も住んでいる地域も全く違う人が、お互いに励ましあったり支えあったりしながら訓練を進めていきました。この素晴らしい仲間がいたからこそ、七沢での楽しく充実した生活が送れたんだと思います。このようなことが私の人生を変えてくれたなと思いました。退所した今でも当時の仲間と連絡を取り合い、食事をしながら情報交換をしています。
七沢での一つひとつの訓練の積み重ねが私に自信をあたえ勇気づけてくれました。これからも七沢で身に着けたこと、学んだこと、出会えた職員の皆さんや仲間を大切にしていきたいと思います。

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