神奈川県総合リハビリテーションセンター

障害者支援施設 七沢自立支援ホーム

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利用者の体験談

「私の在り方」

五味 義一

私は七沢自立支援ホームへ通所では5か月間。入所に至っては、令和3年10月から令和4年9月までお世話になりました。

私は、生後3か月から先天性白内障を患い、平成5年に緑内障の疑いとの診断を受け、視野は食パンの右下4分の1ほど。平成7年の白内障手術に より回復の兆しとともに約20数年、外の世界を見ることができました。

しかし、残念なことに令和元年春の病院受診で、緑内障の進行が著しく、視力は両目とも0.06。視野は針の穴程度まで見えなくなってしまいました。

私にとっては結構ショックで、検査をする度に心が沈んでいくような感覚に陥ったことを今でも覚えています。

またその頃から、階段から足を踏み外すこともしばしばみられ、日中には逆光が眩しく、真っ白な世界に孤立したような感覚にもなり、歩くのも怖くなりました。

夜間はLEDライトの光で、乱視の強かった私は歩道の位置を確認できず車道に飛び出し、クラクションを鳴らされることもあり、白杖を使い始め ました。普段使ったことの無い杖だったので、ネットやYouTubeなどを  参考にしながら歩行をしていました。また、視野も両目0.02に落ち、仕事場では壁や他の職員とも接触することが多くなり、七沢の門を叩くことを 決意したのもその頃です。

通所・入所を含め、点字訓練、歩行訓練、コミュニケーション訓練(パソコン・iPhone)、感覚訓練、日常訓練などを教わりました。

点字訓練では、点字の読みから始まり、凹凸の寿司2巻くらいの長方形の学習点字で形を学び、それから小指サイズの点字へと移りました。50音までは淡々と覚えましたが、アルファベットになってから覚えるのに苦労。

入所時には、点字の分かち書きを学びました。日本語で書く文章とは異なる部分と、名称や動詞などの使い分けが難しく今でも間違えるほどではありますが、難しいとは考えず、「楽しく」をモットーに勉学に励んでいます。

歩行訓練では、白杖の基本的な持ち方や歩行訓練を経て、屋外や市街地での実地も行いました。私が新鮮と思った点は、歩く場所ごとに持ち方を変えて安全に歩ける方法があることでした。駅構内では、通勤ラッシュなどで人が多い時には白杖をペンと見立てて短く持ち、病院などで壁沿いに歩く際は、白杖を斜めに固定して歩くことで障害物などに当たらないような工夫もできることでした。

コミュニケーション訓練では、スクリーンリーダーを利用し音声でWordやExcel操作の練習。スクリーンリーダーはPC TalkerとNVDAを使い分けての実用訓練も行い、 iPhoneの使用方法を学び、androidからiPhone11へ機種変更もしました。退所間近には、富士通のLIFEBOOKとPC Talkerの購入に至り、現状パソコンとの睨めっこが継続中です(汗)

感覚訓練では、電話越しの相手に伝わるように説明する訓練や、枠のあるパズルやLEGOの見本を触り、与えられたパーツのみで見本と同じものを作成する訓練や、点線を辿って漢字を書き、音読み訓読みなどを答える訓練など様々なことを行いました。

また、木工作成の箸以外に、ボートや酒枡などに収まらずリアルペーパー クラフトでは松本零士のアルカディア号、ガンダムのプラモなども手先の 器用性を主軸に、作り上げることも願い、昔のようにはいかないもののプラモデルを作れるので、退所後はどっぷりハマりそうな予感も…。

オカリナも独学で学び、いっぱしにふけるようにもなりました。

日常訓練では、裁縫から棒針でのマフラー作成。料理では、包丁の使い方や段取りを決めて料理も作りました。やはり自分で作る料理が心底うまく、ストレス発散の枠組みで料理を学ぶのもまた一興。

それ以外では、個人差はあるものの、体育・心理などの訓練も同時期に  行い、心身の安定を図ることができました。これも一重に、医務課・視覚部門・肢体部門の職員さん、皆様が陰ながら支援していただいたおかげです。

ありがとうございました。

元々、「頑張る」とか「期待」されると、変に力が入りすぎてしまうたちなので、「気楽で楽しむ」が私の取り柄であり、在り方なのだと再認識できました。

私は、今年の9月末で七沢を退所し、11月には四ツ谷の日本視覚障害者職能開発センターへ就労も兼ね、勉学に励みます。

もしも、七沢自立支援ホームへ通所・入所を考えて、迷っているのであれば、その門を叩くことをお勧めします。

それは自身が思ってもいないような発見もあれば、できないことができるようになり、自信につながるからに他ありません。

是非、視覚部門のリハ体験会からはじめてみませんか?

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